マンションは10年で買い替えなさい

マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)

マンションは10年で買い替えなさい 人口減少時代の新・住宅すごろく (朝日新書)

住宅マーケットの分析で有名なアトラクターズ・ラボを主宰する沖さんによる、マンションマーケットをビッグデータの活用で分析し、お買い得マンションの買い方を指南する本。首都圏で過去20年間に分譲されたマンション1万8千棟の分譲価格、家賃を調べつくし、これまでの「勘と経験」を定量化することで、資産価値の高いマンションを買うための法則を導いている。これによると、この資産デフレの時代に於いても、お買い得マンションは約半数もあるのだという。これからマンションを購入しようとしている人には、必読の本であろう。
ただ、このデータをよく見てみると、今後は以下のようなことになるのではないだろうか。

  1. 首都圏でさえ、勝ち組マンションが半数ということは、近畿圏、中京圏を含めて日本全体で見ると殆どマンションを買うことに経済合理性はないこと
  2. この20年間のマーケットの分析ということは、これまでの人口増加・世帯数増加を前提としたマーケット分析でしかなく、バックミラーを見ながらクルマを運転するようなもので、今後の人口減、世帯数減、所得減およびこれまでの分譲マンションの一部がストックとして賃貸市場に追加されることを加味すれば、勝ち組マンションを手にする確率はかなり下がること
  3. 沖式マーケット分析を用いて投資する人が少ない間は、市場の歪みを見つけてアービトラージすることは可能であるが、今後は合理的な市場が形成されていくであろうこと

つまり、今まで以上に、持ち家というものに経済合理性はなくなり、持ち家のメリットとは、何かしらの安心感が得られるだけの、単なる信仰であることが明らかになったと思うのであるが、これは賃貸派である私のひがみであろうか。