過剰と破壊の経済学

池田信夫さんの本。実はブログを読むまで池田さんのことは知らなかったのだが、ブログが興味深い内容で、経済学とITに造詣の深い池田さんの本ということで読んでみた。
経済学の定義が「希少な資源をいかに効率的に分配するかを考える学問」だということ自体知らずにお恥ずかしい限りなのだが、いわゆるムーアの法則により、コンピュータの性能が指数関数的に増大し、しかも、半導体の材料が、ほぼ無尽蔵に安価で利用できるシリコンだったことから、量産により、価格が限りなく低下することにより、今までの経済学の常識では考えられないような強烈なインパクトを社会に与えることになったとのこと。
パソコンの部品にしても、モジュール化が進んで水平分業体制が確立し、一気に価格が低下してきたが、例えばクルマでも中国のメーカーだとエンジンでも一つのモジュールとしてどこかから調達することにより、安価な生産が可能になってきたことを考えると、ものづくりで世界をリードしてきた日本のクルマメーカーとて、この金融危機以降の経済情勢では、いつまで生き残れるのか、予断を許さない。
日本経済が復活する道があるとすれば、もう官が音頭を取るのを止めて、オープンでグローバルな競争に日本企業が出て行くようにならない限り、展望はなさそうとのことだが、そのためには、日本がパラダイスでなくなるまで待つしかないのかも知れない。