マネー力

マネー力 (PHPビジネス新書)

マネー力 (PHPビジネス新書)

大前研一さんの最新刊。大前ファンとして、早速読んでみた。
まず最初は、マネー力を磨くための世界情勢の確認。日本国内だけに目を向けていたのではダメで、幅広く世界の動向に注目すべきとのこと。そもそも日本は、国の借金が800兆円、年金の債務も殆ど同じ額あるので、その借金をチャラにするために、個人資産1500兆が狙われており、例えば、2004年に新札を発行した時に旧札との交換レートを調整しようとしたが、その交換をATMでやろうとして、メーカーの技術者から情報が漏れて未遂に終わったという話は初耳であった。
また、ユーロが規律のある通貨であるのに対し、ドルは米国が印刷機を回せば回すほど発行されるため、このまま行くと、ドルの暴落する可能性が否めず、それを防ぐために、ドルとユーロが統合され、ユーラーとかドーロといった通貨が生まれるとの予想をされており、さすがという感じだ。
マネー力といった基準で見ると、米国でも80年代頃までは、資産運用よりも勤勉が重んじられていたものの、レーガン政権の頃から資産運用を学ぶようになり、英国でもドイツでも、英語を通じて資産運用を身につけるようになったらしい。ただ、そこから先の肝心のマネー力の習得方法については、「大前研一の株式・資産形成講座」のコマーシャルばかりで、果ては、お決まりの相続税贈与税の暫定ゼロ化と、山手線内側の全面高層化、道州制の導入の3点セットでお終いだったので、大前さんの本をよく読んでいる方であれば、あまり、新たな知見はなく、もし読むなら、ブックオフで買えば十分な本だった。
マネー力ということであれば、邱永漢の「新・メシの食える経済学」とか、古くは藤田田の「ユダヤの商法」をお勧めしたい。