パラダイス鎖国

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

Tech Mom from Silicon Valleyでおなじみの海部さんの本。
高度成長期の日本企業は、公式1:数の多い方が勝ち、公式2:グローバルブランドの確立と維持という法則に則って、一時期世界を席巻したが、近年、製造業の多くの産品がコモディティ化し、高品質だがプレミアム価格という日本製品の優位性にかげりが見られるようになり、グローバル市場での日本企業のプレゼンスが低下してきたのは、下手に大規模でぬるま湯な国内市場を持ったためだとし、「パラダイス鎖国」と表現されている。
確かに、海部さんの仰るように、音楽でも映画でも洋物が輝いていた時代に比べると、近年は、和物がシェアを増大し、内向き指向が強まっていることは、今回改めて認識させられた。
ただ、ここまで大きくなってしまった日本のカルチャーを緩やかに開国するというのは、言うのは易く行うのは難しで、大きな外的ショックでもない限りは無理というのが実感である。そういう意味では、今回の金融危機を契機に否応無しにグローバル化が進行することになるのだろう。